· 

ナイチンゲール

1853年のクリミア戦争での負傷兵への献身的な看護において、清潔な衣類や寝具、換気の良い病室、栄養のある食事などにより、兵士の自然治癒力が上がり、死亡率が格段に減少しました。医療を取り巻く環境が治療効果に影響を与えることを証明し、医療に環境衛生学を取り入れた最初の人で、近代看護学の祖がフローレンス・ナイチンゲール。日本にもナイチンゲールの精神は受け継がれていて、同志社大学創設者の新島襄により、京都看病婦学校が設立、ナイチンゲールから直接指導を受けたリンダ・リチャーズ氏を招聘し、教育にあたりました。そのカリキュラム中で、明治から昭和初期の50年間に渡り、筋肉から内臓に至るまでのマッサージが教育されてました。現在は乳房マッサージやリンパマッサージが残るぐらいで、筋肉や関節に対するマッサージが抜け落ちてしまいました。無くなった理由に、理学療法士や按摩マッサージ士など資格制度が分化し、技術的な差異が生じた結果です。近代看護学初期に医療の周囲を固める方法の一端に、慰安も含め、自然治癒力を高めるためにマッサージがあったことは感銘で、ナイチンゲールの遺志を感じる次第です。